初任給インフレで給与最高更新、世界のZ世代は仮想通貨など非伝統資産へ
Crypto Times 編集部

国内上場企業約3,700社の2025年度の平均年間給与は692.6万円となり、過去最高を更新しました。帝国データバンクが7月9日に発表した調査によるもので、前年度から21.5万円・3.2%の増加は増加額・伸び率ともに比較可能な2003年度以降で最大となり、5年連続の増加です。前年度から給与が増えた企業は全体の76.8%と過去最高水準に達し、平均給与が1,000万円を超える企業も235社と初めて200社を上回りました。
けん引役は「初任給インフレ」、40〜50代には黒字リストラも
今回の給与増をけん引したのは人手不足による採用競争を背景とした「初任給インフレ」です。帝国データバンクは新卒社員の給与引き上げが既存社員の給与テーブルにも波及し、平均額を強く押し上げたと分析しています。
一方で賃上げの恩恵には偏りも見られます。若手の待遇が急速に改善される裏で2024年度以降は40〜50代を対象とする「黒字リストラ」が頻発していると同社は指摘しており、恩恵を受ける若手としわ寄せを受ける中堅・管理職という構図が生まれています。また、平均給与が500万円台以下の企業は全体の34.8%を占めており、賃上げ余力をめぐる企業間の二極化も広がっています。
世界のZ世代は住宅・家族形成を「先送り」、投資は非伝統資産へ
賃金統計の伸びと若年層の実感との距離を映すのがデロイトが6月に公表した世界44カ国・2万2,500人超を対象とするZ世代・ミレニアル世代調査です。Z世代の55%、ミレニアル世代の52%が経済的な事情から住宅購入や家族形成といった大きな決断を先送りしたと回答し、生活コストは5年連続で最大の懸念事項となりました。住宅の価格や入手しやすさが「働く場所やキャリアの選択を直接左右する」と答えた割合もZ世代で69%に上ります。
キャリア観の変化も鮮明です。リーダー職への就任を第一の目標とする回答はわずか6%にとどまり、昇進の速さよりもスキル獲得と持続可能な働き方を優先する傾向が示されました。Z世代の約3割は副業を持ち、収入源の分散を進めています。
ポートフォリオの25%が仮想通貨など「非伝統資産」に
人生の大きな決断を遅らせる一方で、世界の若年層の投資行動は伝統資産の外へ広がっています。
米コインベースの調査によると、Z世代・ミレニアル世代の投資家はポートフォリオの25%を仮想通貨を含む非伝統資産に配分しており、X世代・ブーマー世代の8%の約3倍に達します。米調査会社Cerulli Associatesは2048年までに124兆ドルの米家計資産が世代間で移転すると予測しており、仮想通貨への配分が厚い世代が資産の受け手になる構造も注目されています。
今年1月にはジェミナイ(Gemini)の世界規模の調査でZ世代の51%に仮想通貨の保有経験があること(X世代は29%)が報じられ、住宅価格の高騰やインフレで従来の資産形成ルートが困難になった若者がリスク資産に向かう心理は「金融ニヒリズム」とも呼ばれています。米国では暗号資産を住宅ローン審査の資産として認める制度も2月に始動しました。
日本の若年層は仮想通貨保有率5%、世界との開き鮮明
世界と対比すると日本の若年層はまだこの流れの外にいます。マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが2026年4月に国内の20〜39歳3,200人を対象に実施した調査によると、資産運用をしている人は38.8%、仮想通貨の保有率は5.0%にとどまります。調査の手法や対象が異なるため単純比較はできないものの、世界の若年層との開きは大きいのが実情です。
初任給の急上昇と中堅層のリストラという国内の賃上げの構造、そして大きな決断を先送りしながらリスク資産に向かう世界の若者たち。賃金統計の「過去最高」の裏で、資産形成の前提そのものが世代ごとに書き換わりつつあります。仮想通貨保有率5%にとどまる日本の若年層が今後この世界的な流れに沿うのか、賃上げの持続性とあわせて注目されます。
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記事ソース:帝国データバンク






















































