3000億ドルのステーブルコインに償還危機の恐れ|FSBが警告

2026/10/13・

よきょい

3000億ドルのステーブルコインに償還危機の恐れ|FSBが警告

金融安定理事会(FSB)は2026年10月12日に公表した報告書で、市場の混乱時に国境を越えて準備資産を動かせなくなれば、ステーブルコインが償還危機に陥る可能性があると警告しました。主な対象は、複数の国の関連会社を通じて同じトークンを発行する事業者です。

ステーブルコイン市場は2026年半ば時点で約3000億ドル規模とされ、その99%が米ドルに連動しています。報告書は10月15日のG20財務相・中央銀行総裁会議に提出されます。

FSBによると、こうした仕組みでは保有者がどの発行体からも償還を受けられる一方、準備資産は各社が別々に管理しています。償還請求が特定の国に集中し、担保の多くが別の国にある場合、流動性のミスマッチが生じます。平時は資産を移せば解消できますが、危機時には銀行規制や決済の遅れ、各国規制の違いが移転を妨げるおそれがあります。償還が遅れれば流通市場で割安に売られ、ドルとの連動(ペッグ)が崩れる可能性があるとしています。

関連する例として、サークルは2026年9月に更新した償還ポリシーで欧州経済領域向けにはフランス法人、それ以外は米国法人を通じてUSDCを共同発行しています。同ポリシーでは両法人間で準備資産を再配分できないストレス時に、フランス法人が一部の償還を調整・延期できると定めています。ただし、これは実際の流動性不足ではなく緊急時の備えで、額面での償還権は維持されます。FSBが想定するどの発行体でも制限なく償還できるモデルとも仕組みが異なります。

FSBはステーブルコインの流通地・償還地・準備資産の所在の監視強化や、当局間の情報共有を求めています。ベイリー議長は国境を越えた破綻に対処する国際協調がまだ未成熟だと認めています。提案は2023年の勧告を土台とした拘束力のないもので、実施は各国当局に委ねられます。

複数国にまたがる発行体の破綻処理手続きの策定時期は示されておらず、G20での議論が出発点となりそうです。

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